妖あやし、恋は難し
…
さてさて
(どうしてこんな状況になっているんだろう…)
冷や汗を流す結の、目の前にあるテーブルの上には何品もの大量の料理が並んでいて
それを挟んだ向かい側の席には湊がすごい形相で座っている。
黒木組を出た二人は一番近くのファミレスに入った。
質より量。
まるでそうとでも言うように、湊は自ら高カロリー高タンパク質の料理を次々と注文していき、今この状況に至るのである。
「食え」
「…へ?」
湊の一言に結はポカン。
こ、これを、食べろとのたまうのですか?
ムリムリムリッ!
いくら最近食べてなくてもムリ!
普段でも厳しいよ、こんな量!!!
…という内心での焦りを、「む、無理です…」の一言にまとめた結。
しかしそんな弱々しい反撃で目の前の鬼を倒せるはずもなく。
「ムリでも食べろ、胃に詰め込め」
「そ、そんなぁ…」
「た・べ・ろ」
終わるまで、ここどかねぇからな!!
かくして、結は湊の厳しい監視の元、テーブルを埋め尽くす大量の料理との戦いが始まったのである。