妖あやし、恋は難し
「なあ、おい。どうやって乗り込むか考えがあるんだろ?教えろよ」
敵アジトに今から殴り込みに行くのだ。
しかもこちらの人員はたったの2人。
当然、何かしら作戦がなければ弾き返されるだけだろう。
そう思って尋ねた蓮だったが、すぐに後悔する。
「どうやって乗り込むかだと?んなもん、正面突破以外あるか」
「……は??」
耳を疑った。
だって正面玄関には武装した見張りが四人はいるはず。
裏から回った方が断然安全なのに。
それでも湊はその言葉通り正面玄関に向かって一直線に歩く。
予想通り見張り達は、スーツを着こなしたただならぬ雰囲気を醸し出す怪しい男にすぐさま気づいた。
そして、「ちょっと待て、何もんだ」とイカツイ顔で詰め寄りその足を止めようとした。
次の瞬間
湊は何のためらいもなく、拳銃の引き金を引いた。
ヒュッ
と、風を割くような細い音が何度か聞こえると、次には「あ゛あああ!!?」と膝を押さえてうめき声をあげる見張り達が地面に転がる。
一度に四人。
あまりの光景に愕然とし、思わず足を止めてしまった蓮。
そんな彼に向かって湊はいう。
「立ち止まるな。歩き続けろ」
二丁の拳銃をその両手に、先へ進む湊。
蓮はこの先起こるであろう事態を覚悟しごくりと生唾を飲んで、急いで彼のあとを追った。