恋に落ちる3秒前
晴天
麗咲「樹!」
やっぱり、麗咲は、来るんだよな
でも、今来られたら、歯止めが効かなくなる......
「私、樹のこと、もっと知りたいの!」
「樹、待って!!」
『グイッ』
前より、力強いけど、少し弱々しい
「何だよ、俺に構うな」
「樹のそんな顔、見たくない!
そんなの、樹らしくないよ!」
「...俺らしいって何だ?
伊集院財閥の跡取りとしてか?
それとも、幼馴染としてか?
麗咲の求めてる俺は、誰なんだよ......」
最悪だ。
こんな惨めな姿を麗咲の前で見せてしまうなんて。
これだったら、世界中の人達に見られた方がマシだ。
───────『ぎゅっ』
気が付くと、俺は、麗咲で埋め尽くされていた
内側だけではなく、外側も。
「私、樹とずっと一緒に居て、ずっと好きだったけど、今の樹は、嫌い」
「じゃあ、離せよ......」
これ以上話したら泣いてるのバレる......
「今の樹は、私にも、皆にも嘘付い
てばっかり!
樹の本心は何処にあるの?
私は、どんな樹でも、受け入れる
準備は出来てるよ?
樹は、私をお嬢様じゃなくて、1人
の女性として受け入れる準備は出来
てるの?」
麗咲は、俺が思っている以上に強くて
優しい人になっていた
だから、俺は、もう逃げない