きみと最後の1ページまで
1. 始まり
自分が主人公の物語があるとすれば、まだ1ページも進んではいないだろうと思う。
それくらい、私──星川遥香(ほしかわはるか)の毎日は退屈だった。
それなりに友達はいるし、勉強も得意ではないが、人並み程度にはできる。
運動は少し苦手だけど、問題無い範囲。
4月から高校一年生になったが、学校に通うことが面倒だと思っても、それほど苦にはならない。
家族も仲は良いほう。
普通だ。限りなく普通に近い私。
そこらに転がっている漫画や小説で例えたら、私は作中名前すら出てこないモブだと思う。
いや、もしかしたら、姿さえも出してはもらえないかもしれない。
たくさんある人だかりの中のひとり。
……ああ、やっぱり退屈だ。
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