きみと最後の1ページまで
「あ! 遥香!」
朝、いつものように騒がしい教室に入ると、私の名前を呼びながらこちらに駆け寄ってくるクラスメートが2名。
明るく元気な彩奈(あやな)と、小さくて笑顔が可愛い千夏。
高校に入ってから仲良くなった友達だ。
「なに? どうしたの?」
普段よりも少しだけテンションが高めに見えたふたりに、私は聞いた。
すると、やっぱり興奮気味に答えてくれた。
「あのね、さっき聞いたんだけど、転校生がくるんだってさ!」
「え? この時期に?」
教室にあるカレンダーは、つい3日前に6月へと切り替わったばかりだ。
なんとなくじめじめしてきて、まもなく梅雨入りを迎えるであろうこの季節。
なんとも、中途半端だと思った。