きみと最後の1ページまで
それを聞かれた高木くんはふっと笑う。
「ああ、もちろん。夏休み明けにある賞に応募する用の原稿を書く」
高木くんはいきいきとした声音でそう語りながらも、眼鏡の奥の瞳は真剣そのものだった。
思い掛けず、どきっとした。
「星川さんは?」
「えっ、な、なにが?」
「夏休みどこか行くの?」
「あ……私は、わかんない。友達が部活で忙しいからあんまり遊びに行けないかもだから……」
高木くんは「ああ、部活か……」と納得したように呟くと、そのまま口を閉ざした。
会話が止まってしまった。
気付けば、もうすぐ分かれ道に差し掛かる。
そうしたら、高木くんとはお別れで、9月まで会えなくなる。
どうしよう、と何故か気持ちが焦るのを感じた。
繋ぎ止めておかないと、そうしないと……。
そう思っているうちに、無情にも終わりの時間がやってきてしまった。