きみと最後の1ページまで
「じゃ、俺こっちだから」
「ああ、うん。また二学期にね」
「おう……じゃあな」
そう言って、高木くんは行ってしまった。
こうやって遠ざかって行く背中を見るのも二度目だけど、あの日見たものより寂しい気持ちになるのはなんでだろう。
なんで、こんな気持ちになるんだろう。
何故かぽっかりと空いてしまった心の隙間にざらりと生暖かい風が吹き込んだ。
ふと空を見上げると、分厚い雲が辺りを埋め尽くしていて、さっきまで鬱陶しいほど輝いていた太陽も隠れてしまっていた。
ああ、なんだか雨が降りそうだ。
私は降られる前に早く家に帰ろうと足を早めて、大きなため息を吐く。
私の物語はきっとここでおしまいなのだと思いながら────。