きみと最後の1ページまで
「亮太(りょうた)! なんであんたがここにいるのよ」
それに対して名指しされた彩奈は負けじとそちらを睨んだ。
亮太こと藤ヶ谷(ふじがや)くんは同じクラスの男子で、彩奈とは小学生からの幼馴染らしい。
曰く「ただの腐れ縁」といって、ふたりが顔を合わせたら大体言い合いになる。
「俺、野球部だろうが。一緒に居てなにが悪いんだよ」
「あのねぇ、夏休み中まで私の目の前に現れないでくれる?」
「それ、こっちのセリフだから」
お互い一歩も引かない雰囲気に、前野先輩はボソッと「仲良いなぁ」と言っていた。
正直、私もそう見える。
なんだかんだあのふたりは普段から息が合ってるし、好みも似てる。
嫌な顔をしてるようでも、彩奈は活き活きしてるし、藤ヶ谷くんだってどこか楽しそう。
ああいう仲良しもありだよね。