きみと最後の1ページまで
いつまでも続きそうな睨み合いは、前野先輩が「そろそろ行くぞー」という掛け声と共に藤ヶ谷くんの襟首を掴んで歩き出したことで終了した。
それを見て、彩奈が動く。
「ほら、千夏!」
「え? ち、ちょっと」
彩奈は千夏を引っ張り少々強引ながらも先輩の隣へ誘導した。
満足気な表情の彩奈が私を見てグッと親指を立てたので、私は思わず笑った。
「はは、彩奈はさすがだね」
「ふっふっふ、もちろんよ!」
その様子を見ていた他の3人も「ああ、やっぱりかー」などと口にしながら彩奈の周りに集まった。
「マネージャー、やっぱ前野狙いなわけか」
「知らなかったんですか?」
「そうっぽいなとは思ってたんだけど、真面目に仕事やってるし普通に野球好きなのかと」
「千夏は野球のこと全然知らなかったんですよ! でもたくさん勉強して、きっと今は大好きですね」
「へぇー」