きみと最後の1ページまで




「高木秀一(たかぎしゅういち)です。よ、よろしくお願いします」




ホームルーム、先生に紹介された転校生は私たちに自己紹介をすると一礼した。



その姿はイケメンでも美少女でも宇宙人でもスーパーヒーローでもなかった。


少し癖のついた黒髪に、銀フレームの眼鏡。顔は普通。名前も普通。身長も声も普通。


高木くんは、ごく一般的な真面目そうな男子だった。



そして、私の中でふわふわ浮いていたシャボン玉のような淡い期待は一瞬で消えた。


まあ、現実こんなものだろう。



そんな高木くんに割り当てられた席は一番後ろの窓際。


対して私は前から三番目の廊下側の席で、これから先多分関わることさえないんだと思う。



せっかく自分の物語が進み出すチャンスだと思ったのに、ただの痛い勘違いで終わってしまった。



高木くんは一切悪くないので、口に出しては言えないけど。





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