きみと最後の1ページまで





雑踏の中で決して掻き消されることなく鳴り響いている軽快で力強い笛と太鼓の音。


ずらっと並ぶちょうちんの淡く優しい明かり。


この場にある全てのものがその空気感を作っている。




「熱っ……うん、美味しいね!」

「ヤケドしないでね」

「はーい、遥香もねー」




たこ焼きを頬張る彩奈はいつもよりテンションが高めだし、少し前を歩いている千夏と前野先輩もうまくいってるみたい。


さっき溜め息を吐いていた藤ヶ谷くんも先輩達に囲まれて笑っている。


うん、この感じ好きだな。




「遥香、ちょっと待って」

「何?」




彩奈は端に寄って立ち止まると、スマホを取り出した。


誰かから連絡が来たようだ。




「なんだって?」

「ねぇ、花火やろうだって!」

「え、花火?」




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