きみと最後の1ページまで
わいわいと賑やかな輪から離れて、ぽつりと寂しそうに置かれていたベンチにふたりで腰掛けた。
夜の公園は昼間の明るさからは想像できないくらい暗くて静かで、遊具ひとつひとつがどこか憂いを帯びているようだった。
話そうと誘われたものの、しばらく沈黙が続いたので、私から口を開く。
「高木くんも来てたんだね」
私の問いかけに、高木くんはハッと顔を上げると「ああ、うん」頷く。
「祭りに誘われて、流れでこっちもついてきた」
「そうなんだ」
「誘われるとは思ってなかった。転校生だから気ぃつかわれてんのかも」
「みんな仲良くなりたいんだよ」
「どうだか。……祭りとか本当久しぶりで、ちょっと疲れた」
高木くんはぐいっと背伸びをする。
そっか、だから隅っこでこんな風に休みたかったんだ。
「人混みとか嫌い? 本当は来たくなかったとか?」
「いいや。普段ならあんまり好きじゃないけど、今日は特別じゃん」
「へ……特別?」