きみと最後の1ページまで
しばらく「教えてよ」「教えない」のやりとりが続いたが、絶対に口を割らなそうな高木くんの様子に私は折れた。
「ちぇー、けちー」
「……ご、ごめん」
「あ、謝らなくていいよ! もっと仲良くなれたら教えてもらうから」
「なんだよ、結局諦めてないのか」
やれやれと呆れ顔の高木くんは、ほっとしたようにため息を吐いていた。
……そういえば、と私は口を開く。
「ねぇねぇ、小説は? 結構書けたの?」
「いや、全然書けてない」
「ぜ、全然!?」
特に慌てた様子もなく答える高木くんにたいして、私は驚きながら眉間にしわを寄せる。
夏休み前にはだいぶ張り切ってたように見えたけど、今はそんな様子もみられない。
大丈夫なんだろうか……?
「書きたいことも書くことも決まってるんだけど、全然書けない」
「そうなんだ? えーと、スランプってやつ?」
「いや、違うな。……俺の場合は、ただの経験値不足というか……」