胸が壊れるほどに愛してる
気づいた
先生が赴任してきてから2日が経ちました
先生は、生徒一人一人の名前と顔を覚えたそうです
そして、私なんかも、覚えてくれました
私は、体調が悪くなり、保健室のベッドで休んでいました
「白石さん、カーテン、開けても良いかな?」
せっ、先生が来ました!!
驚いて声が出ないです……
「開けるね」
先生は、ゆっくりとカーテンを開けて
「体調はどう?」
「まあまあです……」
「そっか、無理しないでね」
先生は、夏の風より爽やかに笑った
そして、優しく頭を撫でた
「白石さんは、いつも皆に譲ってあげてるから、次は、白石さんが休む番だよ」
皆に、私の本心を見せなかったはずなのに、先生にはお見通しなんですね
そう思うと、自然と涙が出てきた
「よしよし、大丈夫だからね」
そう言って、先生は、小さい子をあやすように、笑った
その時、幼いあの頃を思い出した
『やめろよ!お前ら、女の子いじめたらダメだろ!』
あの、甘過ぎない、柑橘系の香りでした