darkness【短編】
そもそもよ、


「あなた私に忘れ物がどうとかこうとか言ってませんでした?」


そうよ。


縁側にいたらそんな声がしてーーー


「ああ、言ったね。」


だったらさっさと要件済ませて引き取ってもらおう。


「私、忘れ物なんかしてませんけど。せっかくのご忠告ですが…」


「忘れてるよ、ここに。」


自分の胸の辺りを親指の先で指す彼。


「あの、私、回りくどい言い方とかね、嫌いなんですよ。分かりやすく言ってもらえます?無駄なやり取りは省いて。」


「そうだった。あんたはそういう人だった。」


知ったふうな口ぶりでその人は言った。


















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