darkness【短編】





「違うのよ…私。」


咄嗟に今夜のように墨で塗りつぶした記憶が蘇る。


鮮やかな赤、光る尖端。


怯える顔…。


「何が違う?」


「だから…私、」


その先は言えなかった。


だって唇を塞がれたんだもの。


激しく口内を舌で翻弄され脳までえぐられるんじゃないかって。


けれど、決してそれは甘いそれではない。


寧ろ、ピリリと痺れを与えられた。


まるで毒針で刺されたかのように。







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