瑠璃色
ザーザーと雨が降る夜だった。
その日は仕事が終わらず、残業していた。
車のワイパーをかけながら車を走らせる。
いつもなら、葵が働いてるパン屋に行くのだが、今日は時間が遅かったから、行けなかった。
まっすぐ家に帰ろうと思っていた。
すると、雨なのに傘をさしてない人が歩いていた。下の方を向いて歩いていた。
風邪ひきそうと思いながら、通り過ぎようとした。
通り過ぎようとした時、顔が見えた。
葵だった。
俺は慌てて、車を止めて、葵のところへ行った。
「水家さん!!大丈夫ですか?」
俺がそう声をかけ、傘を彼女さんの方へやった。
トン……。
葵が俺に寄りかかってきた。
え、え、え、えええええ
びっくりした。彼女の肩をつかんで離そうとした。だが、葵は震えており、息も荒かった。
「大丈夫ですか?」
そう聞いても返事がない。
ただ、息が荒いだけ。
病院に連れていかなきゃ……。
夜も遅い、救急車を読んだ方がはやいな。
救急車を呼ぼうと携帯を取り出し、電話をかけようとすると、
「やめて、病院は、いや……寝てたら、治るから……」
彼女からそう言われ、救急車を呼ぶのをやめ、とりあえず、雨を凌ぐために車の中に乗せ、車の中にあるタオルと毛布を彼女にかぶせた。
どうしよう……。
本人は病院を嫌がってるけど、やっぱり連れていった方がいいんじゃないか、でも、雨に濡れて、寒くて震えているだけかもしれないし。本人は寝てれば治るって、言ってたからなあ……。病院に連れていかないにすると、俺の家に連れていくか?あ!実咲が看護師だから、実咲にいろいろとしてもらえばいいんだ。うん、そうしよう。
そして、俺は自分の家に向かった。
家に着いたので、彼女をおぶって、家のインターホンを押す。