君が響けば


「うわ…」


笑ってる。


1番走り抜けた青色くん。


一瞬ドキッとしちゃったやん、やめて青色くん。


そうそう、草ぬかないと!


「野本!もう終わってええよ。お疲れさん。」


「あ、加藤先生」


1時間も抜いてこの量…。

怒られるかな。


「おーこんな抜けたんか。根本深くて抜くの大変やったやろ」



「えっ!そうなんですか?」


「そうそう、あとは業者に任せるからええよ〜。ほれ、これ飲んで帰り」


先生の手から投げられたのはオレンジジュース。

「私リンゴジュースが好きなんですけどー」


「文句言うなら返せ!」


と言いながら背を向けて私に手を振る加藤先生。


ていうか草むしり業者に任せるねんやったら私がやった意味…。

と、思いつつも青色くんを見れたからよかったかな、なんて。


「アリガトウゴザイマース」


そう言ってからオレンジジュースを一気飲みした。


見上げた空は、青色くんの練習着と同じくらい青かった。

< 6 / 15 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop