そらをみあげれば…
手術も終わり、ようやく体が少しは自由になった頃に、待ちに待った【水】と【食べ物】が口に出来ると聞いた。

「とりあえず水だ!くれと言ってから2週間も飲んでないんだから!」

看護婦の用意した水は、今までに飲んだことのない…旨さと潤いとありがたみで溢れていた…

「水ってこんなに旨いんだ……」

思わず言葉に出た。
入院して2週間、やっと生きてる実感が湧いたのはこの時だろう。

しかし食べ物のほうはそう簡単にはいかないらしく…最初に出てきたのは【おかゆ】。
しかしこれ、タダのおかゆではなく【十分がゆ】。

もう米の原型は留めておらず、ただ白く濁ったドロドロの液体に少量のおかかと醤油を数滴…

一口入れるのが精一杯…


「焼き肉食いてぇ!!!」

「ラーメン食いてぇ!!!」

「ビール飲みてぇ!!!」


隣でごはんにノリを巻いて、味噌汁を飲みながら目玉焼きを食べるかどわきがものすごく羨ましく感じた。
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