嘘つき系恋心
『いってきます。』
「お父さん、見ていて。ちゃんとやってみせるから...!じゃあ、いってきます。」
そう言って病室を後にする。明日から学校に行く準備をしなければならないのだ。
はぁ、とため息をついて病院特有の薄暗く長いひんやりとした廊下を歩く。本当はお父さんの近くにいたい。そんな気持ちを押し沈めて、一歩一歩を踏みしめた。
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「ただいま...」
しんと静まり返った玄関。おかえり、なんてもう返ってこないことなんて知ってるはずなのに、少し期待してしまう自分がいた。
「んん、そんな事考えてる場合じゃない...。荷物まとめないと...!」