嘘つき系恋心



「うわぁっ広い...っ!!」



髪をなびかせ大きな浴槽へ近づく。ふわっと薔薇の香りがして、とても素敵だ。


「素敵...っ」


喜ぶ姿はもう完全に少女であった。反抗的かつ、生意気な少年の姿などどこにもなかった。


体を洗い流してから浴槽へ浸かると、ぽかぽかと芯から温まってくる。



「...気持ちいい......」



薔薇の香りと薔薇色のお湯が杏也...もとい結彩の体を優しく包む。人の家だと分かっていながらもつい、くつろいでしまう程だった。


「...んんっと、そろそろあがらなきゃ...」



大きなバスタオルで体を包むと、脱衣所へと戻った...のはいいが、ある筈のアレがない。命に変えても今は必要なもの。



「嘘でしょ...!?」


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