嘘つき系恋心

今まで黙っていた遊がゆっくりと口を開いた。結彩は黙って頷いた。



「なんで...男子と装ってまで男子校に来たんですか...?」



「.....そんなの...っ復讐するために決まってるじゃないですか...」

質問される内容は大方、想像がついていた。だけど、やはり冷静になんてなれなかった。



「復讐するため...?どういうことだ?」




灯亞が眉根を寄せる。結彩はぼそっと呟いた。





「...春奈。」




憎いあの人の名前。結彩の父といとこをあんな目に遭わせた憎いあの人の。優しくて綺麗で大好きだったあの人の名前。忘れた事なんて一度も無い。病院で眠るお父さんのお嫁さんで...結彩の母の名前。


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