嘘つき系恋心
「ごめん...これ、僕のお母さんの字じゃないや...」
「え......?嘘。違う...でも、ここにいるって...!」
「誰に...聞いたの?」
「近所の人たちが......噂で......」
そう発した時に自分でも気が付いた。これは単なる噂であって本当じゃない。今まで違う人を憎んでいた自分が馬鹿に思えて、呆れてつい笑みが零れた。
「私は...全然違う人を...憎んで男子校にまで行ってたのね。ははっ......バカみたい...。.........バカ、みたい」
もう、自分でも訳が分からなくなり、フラフラと部屋を出た。
「まて......っ!」
「.....」
視界がぼやけて何も見えなくて、頭も働いていないまま階段を下りようとした時に灯亞が引き寄せた。