嘘つき系恋心
そして数分たった頃、上から大きな物音がした。何事かと、物音のした部屋に入ると、伊織が腰を抑えながら床で悶えていた。そして、傍にある椅子がキィーと音をたてながら揺れていた。
「伊織、大丈夫ですか!?」
「...大丈夫.........」
ゆっくりと起き上がってベッドに座る。そして今起きたことをこと細かく話した。
「...へぇ、本に熱中しすぎて気付いたらこんな時間になってて、立ち上がろうとしたらふらついて転んだと。...もう、なにやってるんですか...。」
「あはは、ごめんね」
「あははじゃないですよ。びっくりしたんですから。それに伊織さんの部屋から聞こえるし...心配したんですよ。」
床に散らばった本を片付けながらお説教を始めると、叱られているはずの伊織が何故か嬉しそうに笑っている。