嘘つき系恋心


「転校生だけど⋯何か?」



「はは、なんでもないんだけどね。一応、隣の席だから挨拶くらいはしとこうかなって。⋯あ、灯亞、恋、席についてね?威月さんが凄い睨んでるから。」



そう言うと、灯亞と恋が頷いて席に着く。それと同時にチャイムが鳴り、HRの終了を告げた。



「あらら、終わっちゃった。まぁいいか。さっきは急にごめんね?僕は朝比奈伊織(アサヒナイオリ)。隣だから分からないことがあったらなんでも聞いてね。」


「え⋯あ、はい。」


「それと、よければ君の名前を教えてくれるかな?女の子⋯だよね?男子達騒いだし⋯それに⋯⋯」



何も知らない伊織は可愛いし、と付け足して穏やかに笑う。それが杏也に火をつけると知らずに。

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