嘘つき系恋心


部屋に入り必要な物をまとめていく。と言っても、噂によるとあっちで色々と準備ができる施設があるらしいので必要最低限のものだ。


「眼鏡と...、写真も。」


飾ってある写真をそっと手に取る。そこに写るのはお父さんとあの人と自分。幸せだった懐かしい思い出。


「なんで、涙なんか...っ」


溢れだしそうになる涙をグイッと乱暴に拭って荷物をまとめる。


「このくらいかな...。」


元々あまり必要と思うものも少なかったので、トランクケースの三分の二程度だった。


まとめるのが終わったのはもう夕食時を過ぎていて、動きたくないなと思いながらも立ち上がり、重い足取りでキッチンへと向かった。


「何を作ろうか...。」

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