嘘つき系恋心

「よろしく恋。」



そう微笑んで見せれば、恋はさらに笑顔になった。


「はいはい、ストーップ。二人の世界を作っちゃダメだよ?」


「見てるこっちが恥ずかしいわ」


杏也と恋に、苦笑いな伊織と灯亞。すると、さっき杏也に誰?と訪ねた男子生徒が寄ってきて灯亞の制服を後ろからちょんちょん、と引っ張った。


「どうした?遊。⋯あぁ。」


少し不思議そうに見ていた灯亞だが、すぐに察したのか、遊を杏也の前に行くように促した。



「ほら、自己紹介。」


「⋯⋯神薙⋯遊(カンナギユウ)。」


恥ずかしがり屋なのか、耳まで顔を真っ赤にしている。目も合わせようとせず視線があちこちに移っている。

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