嘘つき系恋心
「すいません⋯。俺としたことが女性に失礼な態度をとってしまって⋯。今朝は気分が良くなくて⋯あまり記憶がなくて⋯」
今朝のことを覚えてないという遊。それならば当然、杏也が男だということも知らないわけで。そしたらまた、杏也が怒るわけで。
灯亞と恋が慌てる中、遊は黙って下を向く杏也に、はてなマークを浮かべていた。数秒後、ピカピカのフローリングにポタ、と雫がこぼれた。
「僕は男なのっ!女の子じゃないのっ!」
勢いよく顔を上げて睨みつけると、遊はポカーンとした表情で固まっていた。すかさず伊織がフォローに入った。
「ま、まぁまぁ、杏也くん落ち着いて?遊は今朝の記憶がないっていうから⋯ね?許してあげて?悪い子じゃないんだ。」