嘘つき系恋心
「八時かぁ、俺三十分くらい遅れるかも」
「えー!?いおりんなんでー?」
「んー、明日妹に会いにいかなきゃなんないんだ」
その言葉にハッとする。寮生活だったからあんまり考えなかったが皆には家族がいる。家族も寂しい思いをしていて当然だ。
杏也は誰にも気づかれないように自嘲気味に笑った。
「あれ?いおりんの妹って...にこ下の子だったよね?名前なんだっけ?」
「そうそう、中三。名前は美空(ミク)」
「え......っ?」