いつもそれは突然で。
午前11時私は秀先輩と美沙先輩とお祭りを回ることにした。
結った髪に簪が可憐に揺れていた。
私はその簪がすごい気に行ってルンルン気分で歩いていた。
「じゃぁまずはどこ回る?」
「澪ちゃんの好きなところ行こう」
「どこ行きたい?」
お祭りなんてあんまり行ったことないからいまいちわからない。
「んー…あ!スーパーボール掬いしたい!」
「じゃぁ行こうか」
秀先輩を先頭に私と美沙先輩はついて歩く。
スーパーボール掬いは誰にも負けなかった。
水風船をとるのは誰よりも下手で私は秀先輩にとってもらった。
その間に何回確認したケータイ。
でも日向先輩からの連絡はなく。
「お前なら大丈夫だ」
朝送られてきてたそのメッセージで終わっていた。
このお祭りを秀先輩と回りたい。
そんな夢は高校生活の中で一度もかなわなかった。
「はい」
水風船を渡されたとき少しぼーっとしていた。
「どうした?」
秀先輩の不安そうな顔。
秀先輩の瞳に映る自分を見た。
私はいまにも泣きそうな不安でたまらないような顔をしていた。
何も隠しとすことなんてできなかった。
日向先輩がいない時間の不安がいまこうやって溢れだしてきていた。
「澪ちゃんかき氷食べに行こう」
優しく差し出された先輩の手。
いま声に出したら泣き出してしまいそうで。
「うん」
1度だけ静かに頷いて私たちはかき氷やさんに向かった。
私は日向先輩の好きなイチゴ味に練乳をかけてもらった。
美沙先輩はレモン味のかき氷。
秀先輩は全部の味をかけてもらっていた。
「なんか秀先輩のかき氷見てたら食欲減っちゃいますね」
「本当だよね」
美沙先輩がおかしそうに笑う。
私たちは慣れない浴衣姿下駄につかれて少し教室に戻って休憩することにした。
私のかき氷は秀先輩が水風船は美沙先輩が持ってくれた。
さっきから躓いてばっかりの私を見て危なく思ったらしい。
チョコバナナに綿あめを食べた。
お昼ご飯に秀先輩と美沙先輩は焼きそばを食べたけど私は苦手だったから
焼きめしを食べた。それからポテトとからあげ。
もうこれ以上食べられないほど食べたけどかきごおりは別腹だった。
教室に戻る途中体育館の横大きな木の下の陰で人の姿を見た気がした。
私は気になってそこに目をやった。
そしたら女の人と男の人がキスをしていたんだ…。
みかちんと日向先輩が…チューしていたんだ。
「日向先輩」
目を話してしまえば何にもなく過ごせたかもしれないのにその場を見てしまったときにはもうすでに遅し。
動けなかったんだ。
「櫻井…」
「…」
「澪ちゃん?」
私の後ろで私の名前を呼ぶ美沙先輩の声。
日向先輩が壁にもたれてみかちんの方からチューをしてた。
そんな光景を見てた私。
なんでこんなに苦しいはずの光景をこうやって普通に見ちゃってるんだろう。
あそっか…だって私のほうから身を引いたんやん。
なに勝手に傷ついてるんやろう。
「違う…」
入ってきた日向先輩の声に私の時間は戻ってきた。
少し色をなくした瞳で日向先輩のことを見ていた。
「そうですかあれは罠だったんですね。私にこんな苦しい思いをさせるために。
私を信じ込ますために私にあの時私に隣を歩いてほしいなんか嘘をついたんですね。
っていうか私が勝手に舞い上がってただけですね。ごめんなさい
今年も1位になれたらいいですね応援しています。生徒会長」
私はそう言い残すと体力なんて全然ないのに自分たちの教室まで一気に階段を駆け上がった。
下駄やからうまく走れへんけどそれでも…その場からどうにか逃げたくて。
いままでリストカットする人間の気持ちなんかわからへんかったけどいまならその気持ちが手に取るようにわかる。
教室に飛び込んで私は鍵をかけた。
前の扉も後ろの扉も。
誰にも入ってきたほしくなんかなかった。
きっと今の私の気持ちなんて誰にもわからない。
「澪!」
扉の向こういくつかの足音。
普通に数えて日向先輩の足音、美沙先輩の塩と、秀先輩の足音、みかちんの足音。
私を守っていたものはすべて崩れた。
私は声を上げて泣いた。
メイクは幸いまだしてなかったからメイクが崩れるとかそんな女の子らしい心配をする必要なんてなかった。
嫌だった。
でも羨ましい気持ちがこみあげていた。
何回か先輩の唇に触れたいって私だって思ったことはある。
でも叶えられなかった。
だってチューって恋人同士がするものだって思うから。
そんな夢さえみかちんはいとも簡単に叶えてしまう。
それが羨ましくて悔しくて。
でもこんなこと言って夏くんが困っちゃうなんてわかってるから
ずっと冗談でも言い出せなかった。仮に言い出せてもしてほしいんなんか思わない。
しとほしいって本当に思うのは恋人としての形がちゃんとできたとき。
私は過呼吸に陥って何にも話せなかった。
「櫻井話を聞いてくれ」
どこかの少女漫画とかできいたことのあるようなセリフ。
わかってるから理解してるから何にも話したくない。
「何が違うんですか」
怖いほど静かな私の声。
何も違うことなんかない。
だって私の見間違えとかじゃないもん。
「もういいですって」
きっとこれで私が諦めることできれば少しいびつな形にはなるけど
私が望んだ綺麗な終わりになるやんか。
それでよかった。
きっと本当に今なら先輩のこと綺麗に諦められる気がするから。
「俺は澪のことが好きなんや。
そんなん俺がお前を選んだあの言葉で少しはきづいたはずやろ」
聞いたことのあるはずのセリフやのに。
傷口がまた大きく開いた。
また先輩おことをどこかで求めている私がいる。
まだ先輩のことを好きな私がいた。
バカみたい。
「今日俺が登校してきたとき」
聞きたくもない話が繰り出される。
嘘なんじゃないかって思えるほどの話が紡ぎだされた。
私は立ち上がってドアのカギを開けて先輩の真向かいに立って話を聞いた。
みかちんのいつもみたいな優しい笑顔はない。
「私はそんな卑怯なことはしてないもん。
だって逃げたのは澪ちゃんのほうからじゃん」
それを言われて何も言えなかった。
確かにだって逃げたのは私のほうだから。
逃げ出しておいて正々堂々と戦わなくってそうしたのは私だもんね。
「澪ちゃんがもう好きじゃないからっていったから
真正面から私は先輩をもらいに行っただけなのにそれのなにが悪いの、ねぇ!!」
私に激しく怒鳴るみかちん。
「何も…」
私の声をさえぎって
「違うやろ」
いままでに見たことのない先輩はまだたくさんいた。
鋭い突き刺してえぐるような目つきでみかちんのことを睨み付ける先輩。
「澪ちゃんって男好きでって話してた女はお前やろ。
俺はそんな性格の悪い女を好きになった覚えはない。
それにお前言ってたよなぁ。
私と回ってくれたら私とデートしてくれたらせめて澪ちゃんくらいなら
守ってあげるって。もうそんなお遊びは散々なんだよ。
俺は不器用で素直じゃなくてでも純粋な櫻井のほうが好きだ。
俺は櫻井澪のほうが好きだ。」
たくさんの傷口が開いて失血死しちゃいそうだよ。
「澪ちゃんいえばいいんやない」
美沙先輩の声。
私は美沙先輩のほうを向いた。
私は勇気を振り絞って言った。
「大好きです先輩のこと。4年前からずっと好きです
。先輩が好きだから先輩の好きないちごミルク2年かけて好きになりました。
で、ずっと前から先輩のことを好きになった日から毎年1年経つことに恐怖を覚えました。
先輩が卒業しちゃうって。
先輩のこと忘れられなくて諦められなくて先輩のことを…ここまで、
追いかけてきてしまいました。」
悲しくって苦しくって恥ずかしくて涙が止まらない。
「澪はいまでも俺の隣を歩きたいと思いますか」
ストレートな先輩の言葉。
なんでか涙目の先輩。
私はうまく返事ができない。
そしたら先輩のほうから私の手を繋いできて
「俺の隣で笑っていてくれませんか。俺じゃだめですか」
大粒の雨を降らしてそういうから
私は「嫌って言ったらどうしますか」満面の笑みで答えてみた。
「拒否権なんかないです」
そういって先輩はグラウンドにあるステージまで私の手を繋いで走り出した
私は嬉しくって楽しくって私も走った。
「さて今年の1位は!!」
「日向狐夏、櫻井澪のぺあだー!!!」
そうアナウンスで伝えられるとともに花火が打ちあがった。
私は嬉しくてまた泣いた。
拍手と歓声が夏祭り終わって夏休みも終わって先輩に恋をして4度目の冬を迎えてもまだ覚えていた。
そして5度目の少し早い桜の季節に先輩方は卒業していった。
私は泣かなかった。
彼氏となった日向先輩に
「また大学でお会いしましょう」
そういって日向先輩のブレザーをもらった。
ブレザーには私の好きだって言ってた香水の匂いがはっきりと感じれた。
私は先輩を好きになって6度目の春先輩と同じ大学に特待生として入学した。
私のことを待っていた先輩は驚いた顔で私のことを迎えてくれた。
「澪よく頑張ったな」
「これでまた一緒にいれるんだね」
桜の下1つシャッターを切った。
結った髪に簪が可憐に揺れていた。
私はその簪がすごい気に行ってルンルン気分で歩いていた。
「じゃぁまずはどこ回る?」
「澪ちゃんの好きなところ行こう」
「どこ行きたい?」
お祭りなんてあんまり行ったことないからいまいちわからない。
「んー…あ!スーパーボール掬いしたい!」
「じゃぁ行こうか」
秀先輩を先頭に私と美沙先輩はついて歩く。
スーパーボール掬いは誰にも負けなかった。
水風船をとるのは誰よりも下手で私は秀先輩にとってもらった。
その間に何回確認したケータイ。
でも日向先輩からの連絡はなく。
「お前なら大丈夫だ」
朝送られてきてたそのメッセージで終わっていた。
このお祭りを秀先輩と回りたい。
そんな夢は高校生活の中で一度もかなわなかった。
「はい」
水風船を渡されたとき少しぼーっとしていた。
「どうした?」
秀先輩の不安そうな顔。
秀先輩の瞳に映る自分を見た。
私はいまにも泣きそうな不安でたまらないような顔をしていた。
何も隠しとすことなんてできなかった。
日向先輩がいない時間の不安がいまこうやって溢れだしてきていた。
「澪ちゃんかき氷食べに行こう」
優しく差し出された先輩の手。
いま声に出したら泣き出してしまいそうで。
「うん」
1度だけ静かに頷いて私たちはかき氷やさんに向かった。
私は日向先輩の好きなイチゴ味に練乳をかけてもらった。
美沙先輩はレモン味のかき氷。
秀先輩は全部の味をかけてもらっていた。
「なんか秀先輩のかき氷見てたら食欲減っちゃいますね」
「本当だよね」
美沙先輩がおかしそうに笑う。
私たちは慣れない浴衣姿下駄につかれて少し教室に戻って休憩することにした。
私のかき氷は秀先輩が水風船は美沙先輩が持ってくれた。
さっきから躓いてばっかりの私を見て危なく思ったらしい。
チョコバナナに綿あめを食べた。
お昼ご飯に秀先輩と美沙先輩は焼きそばを食べたけど私は苦手だったから
焼きめしを食べた。それからポテトとからあげ。
もうこれ以上食べられないほど食べたけどかきごおりは別腹だった。
教室に戻る途中体育館の横大きな木の下の陰で人の姿を見た気がした。
私は気になってそこに目をやった。
そしたら女の人と男の人がキスをしていたんだ…。
みかちんと日向先輩が…チューしていたんだ。
「日向先輩」
目を話してしまえば何にもなく過ごせたかもしれないのにその場を見てしまったときにはもうすでに遅し。
動けなかったんだ。
「櫻井…」
「…」
「澪ちゃん?」
私の後ろで私の名前を呼ぶ美沙先輩の声。
日向先輩が壁にもたれてみかちんの方からチューをしてた。
そんな光景を見てた私。
なんでこんなに苦しいはずの光景をこうやって普通に見ちゃってるんだろう。
あそっか…だって私のほうから身を引いたんやん。
なに勝手に傷ついてるんやろう。
「違う…」
入ってきた日向先輩の声に私の時間は戻ってきた。
少し色をなくした瞳で日向先輩のことを見ていた。
「そうですかあれは罠だったんですね。私にこんな苦しい思いをさせるために。
私を信じ込ますために私にあの時私に隣を歩いてほしいなんか嘘をついたんですね。
っていうか私が勝手に舞い上がってただけですね。ごめんなさい
今年も1位になれたらいいですね応援しています。生徒会長」
私はそう言い残すと体力なんて全然ないのに自分たちの教室まで一気に階段を駆け上がった。
下駄やからうまく走れへんけどそれでも…その場からどうにか逃げたくて。
いままでリストカットする人間の気持ちなんかわからへんかったけどいまならその気持ちが手に取るようにわかる。
教室に飛び込んで私は鍵をかけた。
前の扉も後ろの扉も。
誰にも入ってきたほしくなんかなかった。
きっと今の私の気持ちなんて誰にもわからない。
「澪!」
扉の向こういくつかの足音。
普通に数えて日向先輩の足音、美沙先輩の塩と、秀先輩の足音、みかちんの足音。
私を守っていたものはすべて崩れた。
私は声を上げて泣いた。
メイクは幸いまだしてなかったからメイクが崩れるとかそんな女の子らしい心配をする必要なんてなかった。
嫌だった。
でも羨ましい気持ちがこみあげていた。
何回か先輩の唇に触れたいって私だって思ったことはある。
でも叶えられなかった。
だってチューって恋人同士がするものだって思うから。
そんな夢さえみかちんはいとも簡単に叶えてしまう。
それが羨ましくて悔しくて。
でもこんなこと言って夏くんが困っちゃうなんてわかってるから
ずっと冗談でも言い出せなかった。仮に言い出せてもしてほしいんなんか思わない。
しとほしいって本当に思うのは恋人としての形がちゃんとできたとき。
私は過呼吸に陥って何にも話せなかった。
「櫻井話を聞いてくれ」
どこかの少女漫画とかできいたことのあるようなセリフ。
わかってるから理解してるから何にも話したくない。
「何が違うんですか」
怖いほど静かな私の声。
何も違うことなんかない。
だって私の見間違えとかじゃないもん。
「もういいですって」
きっとこれで私が諦めることできれば少しいびつな形にはなるけど
私が望んだ綺麗な終わりになるやんか。
それでよかった。
きっと本当に今なら先輩のこと綺麗に諦められる気がするから。
「俺は澪のことが好きなんや。
そんなん俺がお前を選んだあの言葉で少しはきづいたはずやろ」
聞いたことのあるはずのセリフやのに。
傷口がまた大きく開いた。
また先輩おことをどこかで求めている私がいる。
まだ先輩のことを好きな私がいた。
バカみたい。
「今日俺が登校してきたとき」
聞きたくもない話が繰り出される。
嘘なんじゃないかって思えるほどの話が紡ぎだされた。
私は立ち上がってドアのカギを開けて先輩の真向かいに立って話を聞いた。
みかちんのいつもみたいな優しい笑顔はない。
「私はそんな卑怯なことはしてないもん。
だって逃げたのは澪ちゃんのほうからじゃん」
それを言われて何も言えなかった。
確かにだって逃げたのは私のほうだから。
逃げ出しておいて正々堂々と戦わなくってそうしたのは私だもんね。
「澪ちゃんがもう好きじゃないからっていったから
真正面から私は先輩をもらいに行っただけなのにそれのなにが悪いの、ねぇ!!」
私に激しく怒鳴るみかちん。
「何も…」
私の声をさえぎって
「違うやろ」
いままでに見たことのない先輩はまだたくさんいた。
鋭い突き刺してえぐるような目つきでみかちんのことを睨み付ける先輩。
「澪ちゃんって男好きでって話してた女はお前やろ。
俺はそんな性格の悪い女を好きになった覚えはない。
それにお前言ってたよなぁ。
私と回ってくれたら私とデートしてくれたらせめて澪ちゃんくらいなら
守ってあげるって。もうそんなお遊びは散々なんだよ。
俺は不器用で素直じゃなくてでも純粋な櫻井のほうが好きだ。
俺は櫻井澪のほうが好きだ。」
たくさんの傷口が開いて失血死しちゃいそうだよ。
「澪ちゃんいえばいいんやない」
美沙先輩の声。
私は美沙先輩のほうを向いた。
私は勇気を振り絞って言った。
「大好きです先輩のこと。4年前からずっと好きです
。先輩が好きだから先輩の好きないちごミルク2年かけて好きになりました。
で、ずっと前から先輩のことを好きになった日から毎年1年経つことに恐怖を覚えました。
先輩が卒業しちゃうって。
先輩のこと忘れられなくて諦められなくて先輩のことを…ここまで、
追いかけてきてしまいました。」
悲しくって苦しくって恥ずかしくて涙が止まらない。
「澪はいまでも俺の隣を歩きたいと思いますか」
ストレートな先輩の言葉。
なんでか涙目の先輩。
私はうまく返事ができない。
そしたら先輩のほうから私の手を繋いできて
「俺の隣で笑っていてくれませんか。俺じゃだめですか」
大粒の雨を降らしてそういうから
私は「嫌って言ったらどうしますか」満面の笑みで答えてみた。
「拒否権なんかないです」
そういって先輩はグラウンドにあるステージまで私の手を繋いで走り出した
私は嬉しくって楽しくって私も走った。
「さて今年の1位は!!」
「日向狐夏、櫻井澪のぺあだー!!!」
そうアナウンスで伝えられるとともに花火が打ちあがった。
私は嬉しくてまた泣いた。
拍手と歓声が夏祭り終わって夏休みも終わって先輩に恋をして4度目の冬を迎えてもまだ覚えていた。
そして5度目の少し早い桜の季節に先輩方は卒業していった。
私は泣かなかった。
彼氏となった日向先輩に
「また大学でお会いしましょう」
そういって日向先輩のブレザーをもらった。
ブレザーには私の好きだって言ってた香水の匂いがはっきりと感じれた。
私は先輩を好きになって6度目の春先輩と同じ大学に特待生として入学した。
私のことを待っていた先輩は驚いた顔で私のことを迎えてくれた。
「澪よく頑張ったな」
「これでまた一緒にいれるんだね」
桜の下1つシャッターを切った。