いつもそれは突然で。
再会
「……」
ふと目覚めた
目を開けたはずなのに開けてるはずなのに真っ暗で何も見えない。
何も聞こえない。
座っているのか立っているのかこの空間が狭いのか広いのかなにもかもわからない。
怖い。
これははっきりわかる。
怖い。
ただただ怖い。
何にもしないなんにも感じない
不安と恐怖だけが残った空間。
私は暗いところが嫌いだ。
「澪」
ん?誰かいま私のこと呼んだ?
どこからか声が聞こえてるのか把握できなくて私はあたりをきょろきょろした
でも相変わらず真っ暗で何も見えない。
私は得体のしれない声にまた確かに恐怖を覚えた。
「澪って」
なんかどこか懐かしい声。
「…誰?」
話せた。
確か私は死んだはずなのに。
「誰?」
私が尋ねると少し遠くあかりがぼやーっとついた。
赤とオレンジの夕焼けのような優しいような光。
そこに桜の木がひとつ。
その桜の木まで白い光の筋の道ができていた。
私はふらふらとする感覚に襲われながらその道を歩いた。
桜の木に触れた。
暖かくて心地いい感じ。
どこかで感じたような。
「あ、これ春の暖かさだ」
私は桜の木に頬を寄せた。
「澪」
私の少し向こうにまた光が現れた。
そしてその真っ暗な空間がほんの少し明るくなった。
中学生くらいの少し背の高い男の子。
それは…
「え…」
それは…
「…」
日向先輩ととても瓜二つな男の子でした。
「先輩…」
「ごめんね僕先輩じゃないんだ」
その男の子は申し訳なさそうな顔をしてこっちへ近寄ってきた。
確かに先輩と同じ香りがした。
「だれ…」
「僕のこと覚えてないの?」
「ごめん…」
私はまた俯く。
「じゃぁ僕はこういうべきだね、はじめまして」
なんで。
はじめましてその言葉に寂しさを覚えた。
「はじめまして」
そしてその男の子は私に目を閉じて3つ数えてといった。
私はその男の子のいうとおりにした。
「1,2,3…」
で、目を開けた。
そしたらアリスのような服装をした尻尾と耳をはやした。
ようするにウサギの格好をした男の子が立っていた。
「初めまして櫻井澪様」
私に丁寧にそう挨拶をした。
なんで私のことを知ってるんだろう。
なんて呼んだらいいんだろう
「澪ちゃん」
「…はい」
「澪また会ったね」
「どこかで会ったことありますか」
その目の前の奇妙な男の子のことを知らない。
でもどこか懐かしようなその声が不思議で。
「覚えていないのは当然か。だって僕は俺はキミの記憶から
ここの記憶を消したんだから。」
「はぁ」
私の顔はひきつる。
「ここの世界のことを知りたい?」
「知りたい」
当たり前。
私は死んだはずなのにどうしてここでこうやって私という人物が存在するのか。
そしてここはどこなのか。いろいろ知りたい。
そしてあなたが誰なのかも。
「はじめましてというべきだねキミは覚えてないんだから。
初めまして僕はここの門番ウサギです。
そしてこの世界は所謂天と地の間。
キミは生き返るころができるチャンスがあるからここに来たんだよキミは。」
…天と地のはざま…。
「僕は主に恋愛してる人にはあの世界へ帰ってほしいと思うんだよ」
あの世界へ
「だから君をあるところに案内しないといけない」
あるところ?
「さぁついておいで」
私はまだ少し謎めきながらもうさぎくんの後ろをついていった。
さっきまでの真っ暗な空間はまるで嘘みたいに。
ヨーロッパのような景色が広がっていた。果物に野菜に魚。キャンディーに。
リンゴの木の周りを青や緑の小鳥がちゅんちゅん鳴きながら飛んでいた。
「綺麗…」
思わず声が漏れる。
「綺麗と思うかい」
うさぎくんの少し切ない声。
「思うよ」
私は真顔で返事をする。
だってこんな世界なんで綺麗と思えないのか私からしたら不思議で仕方ない
「俺はね綺麗だって思えないんだよ」
「どうして?」
「これが現実の世界で当たり前のように存在してるものなら
俺も綺麗だって思うんだよ」
「うん」
「でも違うんだ。これはね人の光でできてるんだ」
人の光?なんだ、人の光って。
そしたらうさぎくんは笑い出した
声を上げて。
「どうしたの」
「本当不思議そうな顔してるから見てるのが面白くって」
「だってわけわかんないもん」
「説明すると、あの小鳥は5歳児の光1つでできるかな。
あの綺麗な女の人だと成人女性の光で15人分」
光が何を示してるのかがわからない。
「光って何?」
「要するに光は残った命だよ」
残った命…。
「ちなみに僕が存在してるのは自殺した人からの残った余命をもらったんだよ。
この間その命をもらってね。
そうやって僕がここに存在できるんだよ。
もっと簡潔に言えばそうやって自殺した人の残った余命を
継ぎ足して継ぎ足して僕が生きれてるんだよ」
なんて…世界は残酷なんだろう。
私は泣きそうになった。
「ほらついたよ」
うさぎくんはとある館の前にとまった。
パステルグリーンの大きな大きな綺麗な館の前。
「…」
「いくよ」
うさぎくんはその館のドアを3回ノックした。
ベルの音が1回鳴って扉は開いた。
「いっらっしゃい、うさぎくん。」
「あの子知ってるよね?」
「知ってるよ」
「ほらおいで澪」
私はうさぎくんの後ろにまたついていった。
館の中には何人かのきれいなお姉さんみたいな女性と
その向かいに座るうさぎくんのような人。
そしてその横に座ってる私のような人。
「私のことももちろん覚えてないわよね?」
「ごめんなさい」
「いいわ。初めまして光の館へ。私はここの番人アリスです」
その人は優しい笑顔で私に話しかけた。
私はなんだか恥ずかしくなって下を見る。
アリスさんは立ち上がって奥にあった本棚から
1冊の分厚い本をとってきて私の目の前でパラパラめくり始めた。
「澪ちゃんここに来たのは2回目なのね」
そういうと少しまずいなって言ったような顔をした。
「ウサギはこの子をどうしたいの」
「澪の生きるべき世界に返したいんだ」
「そっか…ウサギはそれでいいの」
「あぁ俺の命の使いどころはいまこの時だと思うんだ。」
「ならうさぎ時間がないわ。
ただちに手配するから馬車が来たらそれに乗って急ぐのよ」
「あぁ」
勝手に進んでいく話。
うさぎくんの命の使いどころがいまこの時ってどういう意味なのか
全く持って意味が分からない。
「ねぇうさぎ…」
うさぎくんの顔を覗いたらうさぎ君はとても悲しそうな顔をしていた。
涙をぼろぼろ流して白いモフモフした手を濡らして。
「うさぎくん」
「寂しいけどこれでさよならだ」
「え…」
「澪世界に帰ったら愛すべき人を愛するんだ
決してあきらめたらだめだ。何も不安に思わなくても大丈夫。
ちゃんと澪の好きな人の気持ちはちゃんと澪の気持ちに向かってるから」
うさぎ君はそういうと涙をぎゅっぎゅって拭って私の手を繋いで席を立った。
「じゃぁアリス俺は行くよ」
「えぇ」
「アリス最高のパートナーだったぜ」
にこっと笑顔を振りまいて私とウサギくんは館を出て
アリスさんが用意してくれた馬車に乗った。
どんどん館が遠くなっていく。
本当にこれでよかったのか考えた。
でも応援してもらったからには生半可なことはできない。
しばらくして馬車は眩しく光る館の前にとまった。
「ほら澪、俺たちもここでお別れだ。さよなら澪。
この眩しいドアの中を走るんだ。決してふりむいてはいけないよ、
きっと澪は心が優しい人だから後悔すると思うから。澪…」
うさぎくんは私におでことおでこをあわせて私を馬車から押し出した
私はドアの淵に立って
「行くんだ」
そう自分に言い聞かせて1歩光の中に足を踏み入れて走り出した
不思議といつものしんどい感じはなかった。
でも私はうさぎくんの言葉が気になってほんの少し。
ほんの少し振り返ってみたんだ。
そしたらさっきの世界は闇の中に消え
うさぎくんが千切られていく…ところを…見てしまったんだ。
私の目から大粒の涙が伝う。
「澪止まるな!走れ!走るんだ」
うさぎくんが消えていく、うさぎくんの苦しそうな声だけが残る
赤い飛沫は闇にきれいに咲いた。
私は怖くなって前を向き直してまた走った。
「さよならうさぎくん」
それから私はまた意識を失った。
ふと目覚めた
目を開けたはずなのに開けてるはずなのに真っ暗で何も見えない。
何も聞こえない。
座っているのか立っているのかこの空間が狭いのか広いのかなにもかもわからない。
怖い。
これははっきりわかる。
怖い。
ただただ怖い。
何にもしないなんにも感じない
不安と恐怖だけが残った空間。
私は暗いところが嫌いだ。
「澪」
ん?誰かいま私のこと呼んだ?
どこからか声が聞こえてるのか把握できなくて私はあたりをきょろきょろした
でも相変わらず真っ暗で何も見えない。
私は得体のしれない声にまた確かに恐怖を覚えた。
「澪って」
なんかどこか懐かしい声。
「…誰?」
話せた。
確か私は死んだはずなのに。
「誰?」
私が尋ねると少し遠くあかりがぼやーっとついた。
赤とオレンジの夕焼けのような優しいような光。
そこに桜の木がひとつ。
その桜の木まで白い光の筋の道ができていた。
私はふらふらとする感覚に襲われながらその道を歩いた。
桜の木に触れた。
暖かくて心地いい感じ。
どこかで感じたような。
「あ、これ春の暖かさだ」
私は桜の木に頬を寄せた。
「澪」
私の少し向こうにまた光が現れた。
そしてその真っ暗な空間がほんの少し明るくなった。
中学生くらいの少し背の高い男の子。
それは…
「え…」
それは…
「…」
日向先輩ととても瓜二つな男の子でした。
「先輩…」
「ごめんね僕先輩じゃないんだ」
その男の子は申し訳なさそうな顔をしてこっちへ近寄ってきた。
確かに先輩と同じ香りがした。
「だれ…」
「僕のこと覚えてないの?」
「ごめん…」
私はまた俯く。
「じゃぁ僕はこういうべきだね、はじめまして」
なんで。
はじめましてその言葉に寂しさを覚えた。
「はじめまして」
そしてその男の子は私に目を閉じて3つ数えてといった。
私はその男の子のいうとおりにした。
「1,2,3…」
で、目を開けた。
そしたらアリスのような服装をした尻尾と耳をはやした。
ようするにウサギの格好をした男の子が立っていた。
「初めまして櫻井澪様」
私に丁寧にそう挨拶をした。
なんで私のことを知ってるんだろう。
なんて呼んだらいいんだろう
「澪ちゃん」
「…はい」
「澪また会ったね」
「どこかで会ったことありますか」
その目の前の奇妙な男の子のことを知らない。
でもどこか懐かしようなその声が不思議で。
「覚えていないのは当然か。だって僕は俺はキミの記憶から
ここの記憶を消したんだから。」
「はぁ」
私の顔はひきつる。
「ここの世界のことを知りたい?」
「知りたい」
当たり前。
私は死んだはずなのにどうしてここでこうやって私という人物が存在するのか。
そしてここはどこなのか。いろいろ知りたい。
そしてあなたが誰なのかも。
「はじめましてというべきだねキミは覚えてないんだから。
初めまして僕はここの門番ウサギです。
そしてこの世界は所謂天と地の間。
キミは生き返るころができるチャンスがあるからここに来たんだよキミは。」
…天と地のはざま…。
「僕は主に恋愛してる人にはあの世界へ帰ってほしいと思うんだよ」
あの世界へ
「だから君をあるところに案内しないといけない」
あるところ?
「さぁついておいで」
私はまだ少し謎めきながらもうさぎくんの後ろをついていった。
さっきまでの真っ暗な空間はまるで嘘みたいに。
ヨーロッパのような景色が広がっていた。果物に野菜に魚。キャンディーに。
リンゴの木の周りを青や緑の小鳥がちゅんちゅん鳴きながら飛んでいた。
「綺麗…」
思わず声が漏れる。
「綺麗と思うかい」
うさぎくんの少し切ない声。
「思うよ」
私は真顔で返事をする。
だってこんな世界なんで綺麗と思えないのか私からしたら不思議で仕方ない
「俺はね綺麗だって思えないんだよ」
「どうして?」
「これが現実の世界で当たり前のように存在してるものなら
俺も綺麗だって思うんだよ」
「うん」
「でも違うんだ。これはね人の光でできてるんだ」
人の光?なんだ、人の光って。
そしたらうさぎくんは笑い出した
声を上げて。
「どうしたの」
「本当不思議そうな顔してるから見てるのが面白くって」
「だってわけわかんないもん」
「説明すると、あの小鳥は5歳児の光1つでできるかな。
あの綺麗な女の人だと成人女性の光で15人分」
光が何を示してるのかがわからない。
「光って何?」
「要するに光は残った命だよ」
残った命…。
「ちなみに僕が存在してるのは自殺した人からの残った余命をもらったんだよ。
この間その命をもらってね。
そうやって僕がここに存在できるんだよ。
もっと簡潔に言えばそうやって自殺した人の残った余命を
継ぎ足して継ぎ足して僕が生きれてるんだよ」
なんて…世界は残酷なんだろう。
私は泣きそうになった。
「ほらついたよ」
うさぎくんはとある館の前にとまった。
パステルグリーンの大きな大きな綺麗な館の前。
「…」
「いくよ」
うさぎくんはその館のドアを3回ノックした。
ベルの音が1回鳴って扉は開いた。
「いっらっしゃい、うさぎくん。」
「あの子知ってるよね?」
「知ってるよ」
「ほらおいで澪」
私はうさぎくんの後ろにまたついていった。
館の中には何人かのきれいなお姉さんみたいな女性と
その向かいに座るうさぎくんのような人。
そしてその横に座ってる私のような人。
「私のことももちろん覚えてないわよね?」
「ごめんなさい」
「いいわ。初めまして光の館へ。私はここの番人アリスです」
その人は優しい笑顔で私に話しかけた。
私はなんだか恥ずかしくなって下を見る。
アリスさんは立ち上がって奥にあった本棚から
1冊の分厚い本をとってきて私の目の前でパラパラめくり始めた。
「澪ちゃんここに来たのは2回目なのね」
そういうと少しまずいなって言ったような顔をした。
「ウサギはこの子をどうしたいの」
「澪の生きるべき世界に返したいんだ」
「そっか…ウサギはそれでいいの」
「あぁ俺の命の使いどころはいまこの時だと思うんだ。」
「ならうさぎ時間がないわ。
ただちに手配するから馬車が来たらそれに乗って急ぐのよ」
「あぁ」
勝手に進んでいく話。
うさぎくんの命の使いどころがいまこの時ってどういう意味なのか
全く持って意味が分からない。
「ねぇうさぎ…」
うさぎくんの顔を覗いたらうさぎ君はとても悲しそうな顔をしていた。
涙をぼろぼろ流して白いモフモフした手を濡らして。
「うさぎくん」
「寂しいけどこれでさよならだ」
「え…」
「澪世界に帰ったら愛すべき人を愛するんだ
決してあきらめたらだめだ。何も不安に思わなくても大丈夫。
ちゃんと澪の好きな人の気持ちはちゃんと澪の気持ちに向かってるから」
うさぎ君はそういうと涙をぎゅっぎゅって拭って私の手を繋いで席を立った。
「じゃぁアリス俺は行くよ」
「えぇ」
「アリス最高のパートナーだったぜ」
にこっと笑顔を振りまいて私とウサギくんは館を出て
アリスさんが用意してくれた馬車に乗った。
どんどん館が遠くなっていく。
本当にこれでよかったのか考えた。
でも応援してもらったからには生半可なことはできない。
しばらくして馬車は眩しく光る館の前にとまった。
「ほら澪、俺たちもここでお別れだ。さよなら澪。
この眩しいドアの中を走るんだ。決してふりむいてはいけないよ、
きっと澪は心が優しい人だから後悔すると思うから。澪…」
うさぎくんは私におでことおでこをあわせて私を馬車から押し出した
私はドアの淵に立って
「行くんだ」
そう自分に言い聞かせて1歩光の中に足を踏み入れて走り出した
不思議といつものしんどい感じはなかった。
でも私はうさぎくんの言葉が気になってほんの少し。
ほんの少し振り返ってみたんだ。
そしたらさっきの世界は闇の中に消え
うさぎくんが千切られていく…ところを…見てしまったんだ。
私の目から大粒の涙が伝う。
「澪止まるな!走れ!走るんだ」
うさぎくんが消えていく、うさぎくんの苦しそうな声だけが残る
赤い飛沫は闇にきれいに咲いた。
私は怖くなって前を向き直してまた走った。
「さよならうさぎくん」
それから私はまた意識を失った。