いつもそれは突然で。
第二章
動き出した世界
私は7月7日の朝に退院した。
もちろんお迎えは先輩で先輩の特等席に私は乗せられた。
「どうしたん櫻井」
先輩がまた私の顔を覗き込む。
「い、いや何でもないです」
私は少し長い髪の毛をてんてんって触って顔を隠した。
「照れてるん?」
真顔でそんなこと聞くなんかずるい。
照れないわけないやん。
「照れてちゃ悪いですか」
私は先輩と反対方向を向いて反抗する。
「お前やっぱかわいいわ」
そういうと先輩は優しく私の頭を撫でた。
かわいい。
そんなこと言われたら普通はうれしいはずなのに心は痛む。
こんなことほかの女の子にも言ってるのかな。
そんな変な妄想がまた私の心を引っ掻いていく。
「じゃぁ出発するで、ちゃんとつかまっときや」
「うん…」
「うん??」
先輩がにやにやして意地悪な笑顔でこっちを見る。
「はい、わかりました、ちゃんと安全運転でお願いします」
「よし、いいこ」
私は先輩の大きな背中をぎゅっと抱きしめた。
ただ腕を回しただけって自分に言い聞かせても体は熱くなっていく。
こんなに体温上がっちゃったら先輩にまた照れてるのがわかっちゃう。
そんなことを思いながら。
先輩の髪の毛は夏のさわやかな風に揺れる。少し長くてサラサラした髪。先輩の茶色い髪は太陽の光でいつも見てる色より明るく見えた。
「先輩の髪の毛金髪に見えますね」
「そうか?」
「はい」
「なぁ櫻井」
「はい?」
「俺のこと先輩って呼びやすいか?」
「え?中学の時から私ずっと読んでるじゃないですか」
私は面白そうに笑った。
「いやそうだけど」
「つまりなんですか?」
「あだ名でさ呼び合えたらってさ」
「あぁなるほど!いいとおもいます!」
「学校以外は別にタメでもいいで
呼び捨て…とか?ごめんなさい!厚かましいですよね」
なんだこれ。
一人でパニック。
でもできれば呼び捨てだとすごい嬉しい。
「澪って呼ぶな」
「はい」
「うん。でいいって」
先輩はまだ少し慣れない私を笑う。
そりゃぁそうでしょ。
先輩にいままでタメで話したことなんてないもん。
慣れるわけないやん。
「じゃぁ先輩のこと私何て呼びましょうか」
「んー」
「先輩の下の名前の漢字はどう書くんですか?」
「上の名前は知ってるん?」
「ひなたって書いてひゅうがって読みますよね?」
「大正解」
ん?いま先輩嬉しそうな声した?
「下の名前は狐の夏って書いてこなつやで」
「狐!かわいいですね!」
「夏と狐ってなんか妖怪みたいで俺はあんまり好きじゃないねんけどな」
「じゃぁ夏って呼びますね」
「おう、わかった」
こうして私は夏、先輩は澪って呼ぶことになった。
なんかあだ名になるといちだんと距離が近づいたようでうれしかった。
先輩は家まで送ってくれて
「じゃぁまた連絡するわ」
そういって帰って行った。
私は先輩の後ろ姿が見えなくなるまでずっと見送っていた。
夏のほのかな甘い幸せ。
「ただいまぁ」
家に入るとおねぇちゃんが玄関で待っていた。
「なに?」
そういうと
「おかえり」
笑顔で迎えてくれた。
なんかすごい嬉しくて自然と涙があふれ出しそうになった。
「ね、澪」
「ん?なにおねぇちゃん」
「いまの人好きな人?なん?」
おねぇちゃんのその質問に私は少し固まった。
「うん好きな人やで」
「あの人って澪が中学の時よく目線で追いかけてた人やんな」
「うん」
「まだ好きなん?」
「うん」
「大学もあの人追いかけるん?」
「うん」
なんでおねぇちゃんはそんな質問ばっかり。
「澪」
「なに」
「あの人澪にお似合いやと思うで」
なに。いきなりどうしたん。
でもおねぇちゃんのそういうときはだいたい当たる。
私は顔を赤くして部屋に戻った。
部屋は綺麗に整頓されていた。
きっとおねぇちゃんがしてくれたんであろう。
部屋の真ん中に置いてる白い丸い机の上に一つの小包が置いてあった。
宛先は確かに私あてだったけど送り主は書いていなかった。
箱を開けてみると手紙と懐中時計が入っていた。
「澪へ」
澪…。
私の名前。
「澪へ」
きっとこの手紙を呼んでも思い出せないとは思いますが
この手紙をちゃんと読んでください。
澪の左湶骨のところに紫の文字で1100の数字が痣であると思います。
それは私が澪を助けれる数字です。
でもそれを10残すと誰かの命を助けることができます。
ただし誰かを助けることは自分の命と引き換えとなります。
助けられるのは同じ痣を見つけた場合となる。
その懐中時計はその残された時間が示されている。
うまく話は飲み込めないと思うが…
番人うさぎ。
そう綴られていた。
私に残された時間それが示しているのは私の余命でした。
そして私の身近な人も同じ運命をたどってる人がいる。
私はすごい複雑な気持ちになった。
私の新たな世界はこうやって動き始めた。
2012年7月20日私は学校に復帰することができた。
授業とか前期の期末テストには間に合わなかったけど
夏の補習はみんなと同じでスタートできることになった。
朝5時にちゃんと起きてお弁当もちゃんと私が作った。
先輩の分も。
7時50分
いつもに時間に鳴る電話。
「もしもし!夏くん?」
「着いたよ」
「ちょっと待ってて!」
私は急いでお弁当を包んでミニバックにいれて
「行ってきまーす」
いそいで私は家を出た。
玄関先で躓いて勢いよく外に出てしまった。
「お、おう」
先輩は驚いた顔で笑った。
私は恥ずかしくて一つお弁当を差し出した。
「お、おー!!澪の手作りか!ありがとうなっ!」
「あ、あの」
「ん?」
「手紙書いたのでお弁当食べる前に読んでください」
そしたら夏はいま読みだした。
私はそれ見て驚いた。
恥ずかしくてまたそっぽを向く。
「なんでいまなんですか」
「いいやん」
「ま、まぁ」
「俺と一緒にお弁当食べたいん?」
「…」
「なぁ」
いきなり低くなった先輩の声。
「うん」
「どうなん?」
「食べたいけど文句ある?」
「ないない、ほらいくで」
私はまた先輩の特等席に乗り込んだ。
この席に乗った瞬間幸せにあふれる。
「じゃぁ行くぜー!」
朝なのに先輩の元気よさにはいつも驚く。
「しゅっぱーつ?」
「進行―♡」
今日も夏を行く。
いつもの坂道の上。
ここまでくると同じ学校に人にたくさん遭遇する。
「澪ちゃんおっはよう」
同じ学年の友達。
「お?日向が女の子連れてるぞ」
「かわいくね!!?」
「いままでで1番にあってんぞ」
私恥ずかしくて先輩の背中をトントンとして
「おろして」
って訴えた
「なんや俺の後ろは嫌か?」
「そうじゃなくて」
「あんなこと言われるの迷惑やった?ごめんな」
「いや…迷惑じゃないですよ」
「ほら出発するからしっかりつかまりや」
そういうと先輩はブレーキもかけずに
ネコの威嚇するような音を立てて夏の坂道を下って行った。
照れから生まれた体温は夏の風に溶けていく。
先輩は少し照れくさそうに
でもなんだかうれしそうに笑いながら
いろんな話をしながら学校まで向かった。
今年の夏はいつも見れないのに夏の大三角が見れたことも
天の川が綺麗なことも。
「なぁ」
「ん?なに夏くん」
「今日さ教室にきてや」
「いつ?」
「掃除が終わったら」
「なんで?」
「え、お弁当の件いいん?」
あ、確かにそういえばそうだった。
「じゃぁ絶対に待ってて」
先輩は
「うん、了解した」
返事をしてまた前を向いた。
やっぱり。
やっぱり。
何が好き?って聞かれたら
まだ先輩のことまだ嫌いになったこともないしならないし
だからわからないけど
私はとびっきりくっっしゃって無邪気な笑顔を見せる
この先輩が好き。
自転車置き場で
「じゃぁね」
って別れてお互いの教室に向かった。
教室に入ると
「おはよう」
みかちんがこっちに向かって手を振ってた。
私はみかちんのところまで駆け寄った。
「なんか嬉しそうだね澪」
「うん!」
「今日確か日向先輩と一緒にきてたよね?」
「なんで知ってるの?」
みかちんは確か私よりも全然来るの早いはずなのに。
「今日はほんの少し寝坊しちゃってちょっとね
学校の近くで見かけたの、私もねいま来たところなの」
みかちんが寝過ごすなんて本当に珍しい。
「じゃぁ今日は先輩と一緒に帰るんだ?」
「ごめんね」
「最近先輩と一緒で幸せそうな澪ちゃんかわいいよ」
「ありがとう」
やっぱり恋した女の子がかわいいって本当なのかな。
みかちんのその言葉でなんだか
「女の子は恋したら綺麗になる」
そんな嘘か本当かもわからない迷信を信じてみたくなった。
それから今日は1日1時間が過ぎるのがすごい早かった。
今日は授業時間中はみかちんと先輩の話で盛り上がった。
みかちんは
「憧れるけどあんなにかっこいい先輩は手も届かないよ」
って…。
「先輩のどこが好きなの?」
「笑った顔かな」
「今日はどこでご飯食べるの?」
「お昼にね先輩の教室に行く約束してん!」
「3年生のフロアに行くの!?澪ちゃん勇気あるね」
「怖いよ?私も怖いけどなんか先輩のこと考えたら
勝手に足が動くのねん」
そんなガールズトークをしてたら楽しくって
にやにやが止まらない。
1,2時間目の社会だけ。
集中したのは。
4時間目の数学はつまんない。
「おい、櫻井!!」
「はい!」
私は先生の声に驚いて立ち上がった。
「ちゃんと授業に集中しろ、ここの問題解けるよな」
先生の差す先を見るとそれは私の1番苦手な範囲。
私はしぶしぶ答えた。どうにか答えれてほっとした。
もちろんお迎えは先輩で先輩の特等席に私は乗せられた。
「どうしたん櫻井」
先輩がまた私の顔を覗き込む。
「い、いや何でもないです」
私は少し長い髪の毛をてんてんって触って顔を隠した。
「照れてるん?」
真顔でそんなこと聞くなんかずるい。
照れないわけないやん。
「照れてちゃ悪いですか」
私は先輩と反対方向を向いて反抗する。
「お前やっぱかわいいわ」
そういうと先輩は優しく私の頭を撫でた。
かわいい。
そんなこと言われたら普通はうれしいはずなのに心は痛む。
こんなことほかの女の子にも言ってるのかな。
そんな変な妄想がまた私の心を引っ掻いていく。
「じゃぁ出発するで、ちゃんとつかまっときや」
「うん…」
「うん??」
先輩がにやにやして意地悪な笑顔でこっちを見る。
「はい、わかりました、ちゃんと安全運転でお願いします」
「よし、いいこ」
私は先輩の大きな背中をぎゅっと抱きしめた。
ただ腕を回しただけって自分に言い聞かせても体は熱くなっていく。
こんなに体温上がっちゃったら先輩にまた照れてるのがわかっちゃう。
そんなことを思いながら。
先輩の髪の毛は夏のさわやかな風に揺れる。少し長くてサラサラした髪。先輩の茶色い髪は太陽の光でいつも見てる色より明るく見えた。
「先輩の髪の毛金髪に見えますね」
「そうか?」
「はい」
「なぁ櫻井」
「はい?」
「俺のこと先輩って呼びやすいか?」
「え?中学の時から私ずっと読んでるじゃないですか」
私は面白そうに笑った。
「いやそうだけど」
「つまりなんですか?」
「あだ名でさ呼び合えたらってさ」
「あぁなるほど!いいとおもいます!」
「学校以外は別にタメでもいいで
呼び捨て…とか?ごめんなさい!厚かましいですよね」
なんだこれ。
一人でパニック。
でもできれば呼び捨てだとすごい嬉しい。
「澪って呼ぶな」
「はい」
「うん。でいいって」
先輩はまだ少し慣れない私を笑う。
そりゃぁそうでしょ。
先輩にいままでタメで話したことなんてないもん。
慣れるわけないやん。
「じゃぁ先輩のこと私何て呼びましょうか」
「んー」
「先輩の下の名前の漢字はどう書くんですか?」
「上の名前は知ってるん?」
「ひなたって書いてひゅうがって読みますよね?」
「大正解」
ん?いま先輩嬉しそうな声した?
「下の名前は狐の夏って書いてこなつやで」
「狐!かわいいですね!」
「夏と狐ってなんか妖怪みたいで俺はあんまり好きじゃないねんけどな」
「じゃぁ夏って呼びますね」
「おう、わかった」
こうして私は夏、先輩は澪って呼ぶことになった。
なんかあだ名になるといちだんと距離が近づいたようでうれしかった。
先輩は家まで送ってくれて
「じゃぁまた連絡するわ」
そういって帰って行った。
私は先輩の後ろ姿が見えなくなるまでずっと見送っていた。
夏のほのかな甘い幸せ。
「ただいまぁ」
家に入るとおねぇちゃんが玄関で待っていた。
「なに?」
そういうと
「おかえり」
笑顔で迎えてくれた。
なんかすごい嬉しくて自然と涙があふれ出しそうになった。
「ね、澪」
「ん?なにおねぇちゃん」
「いまの人好きな人?なん?」
おねぇちゃんのその質問に私は少し固まった。
「うん好きな人やで」
「あの人って澪が中学の時よく目線で追いかけてた人やんな」
「うん」
「まだ好きなん?」
「うん」
「大学もあの人追いかけるん?」
「うん」
なんでおねぇちゃんはそんな質問ばっかり。
「澪」
「なに」
「あの人澪にお似合いやと思うで」
なに。いきなりどうしたん。
でもおねぇちゃんのそういうときはだいたい当たる。
私は顔を赤くして部屋に戻った。
部屋は綺麗に整頓されていた。
きっとおねぇちゃんがしてくれたんであろう。
部屋の真ん中に置いてる白い丸い机の上に一つの小包が置いてあった。
宛先は確かに私あてだったけど送り主は書いていなかった。
箱を開けてみると手紙と懐中時計が入っていた。
「澪へ」
澪…。
私の名前。
「澪へ」
きっとこの手紙を呼んでも思い出せないとは思いますが
この手紙をちゃんと読んでください。
澪の左湶骨のところに紫の文字で1100の数字が痣であると思います。
それは私が澪を助けれる数字です。
でもそれを10残すと誰かの命を助けることができます。
ただし誰かを助けることは自分の命と引き換えとなります。
助けられるのは同じ痣を見つけた場合となる。
その懐中時計はその残された時間が示されている。
うまく話は飲み込めないと思うが…
番人うさぎ。
そう綴られていた。
私に残された時間それが示しているのは私の余命でした。
そして私の身近な人も同じ運命をたどってる人がいる。
私はすごい複雑な気持ちになった。
私の新たな世界はこうやって動き始めた。
2012年7月20日私は学校に復帰することができた。
授業とか前期の期末テストには間に合わなかったけど
夏の補習はみんなと同じでスタートできることになった。
朝5時にちゃんと起きてお弁当もちゃんと私が作った。
先輩の分も。
7時50分
いつもに時間に鳴る電話。
「もしもし!夏くん?」
「着いたよ」
「ちょっと待ってて!」
私は急いでお弁当を包んでミニバックにいれて
「行ってきまーす」
いそいで私は家を出た。
玄関先で躓いて勢いよく外に出てしまった。
「お、おう」
先輩は驚いた顔で笑った。
私は恥ずかしくて一つお弁当を差し出した。
「お、おー!!澪の手作りか!ありがとうなっ!」
「あ、あの」
「ん?」
「手紙書いたのでお弁当食べる前に読んでください」
そしたら夏はいま読みだした。
私はそれ見て驚いた。
恥ずかしくてまたそっぽを向く。
「なんでいまなんですか」
「いいやん」
「ま、まぁ」
「俺と一緒にお弁当食べたいん?」
「…」
「なぁ」
いきなり低くなった先輩の声。
「うん」
「どうなん?」
「食べたいけど文句ある?」
「ないない、ほらいくで」
私はまた先輩の特等席に乗り込んだ。
この席に乗った瞬間幸せにあふれる。
「じゃぁ行くぜー!」
朝なのに先輩の元気よさにはいつも驚く。
「しゅっぱーつ?」
「進行―♡」
今日も夏を行く。
いつもの坂道の上。
ここまでくると同じ学校に人にたくさん遭遇する。
「澪ちゃんおっはよう」
同じ学年の友達。
「お?日向が女の子連れてるぞ」
「かわいくね!!?」
「いままでで1番にあってんぞ」
私恥ずかしくて先輩の背中をトントンとして
「おろして」
って訴えた
「なんや俺の後ろは嫌か?」
「そうじゃなくて」
「あんなこと言われるの迷惑やった?ごめんな」
「いや…迷惑じゃないですよ」
「ほら出発するからしっかりつかまりや」
そういうと先輩はブレーキもかけずに
ネコの威嚇するような音を立てて夏の坂道を下って行った。
照れから生まれた体温は夏の風に溶けていく。
先輩は少し照れくさそうに
でもなんだかうれしそうに笑いながら
いろんな話をしながら学校まで向かった。
今年の夏はいつも見れないのに夏の大三角が見れたことも
天の川が綺麗なことも。
「なぁ」
「ん?なに夏くん」
「今日さ教室にきてや」
「いつ?」
「掃除が終わったら」
「なんで?」
「え、お弁当の件いいん?」
あ、確かにそういえばそうだった。
「じゃぁ絶対に待ってて」
先輩は
「うん、了解した」
返事をしてまた前を向いた。
やっぱり。
やっぱり。
何が好き?って聞かれたら
まだ先輩のことまだ嫌いになったこともないしならないし
だからわからないけど
私はとびっきりくっっしゃって無邪気な笑顔を見せる
この先輩が好き。
自転車置き場で
「じゃぁね」
って別れてお互いの教室に向かった。
教室に入ると
「おはよう」
みかちんがこっちに向かって手を振ってた。
私はみかちんのところまで駆け寄った。
「なんか嬉しそうだね澪」
「うん!」
「今日確か日向先輩と一緒にきてたよね?」
「なんで知ってるの?」
みかちんは確か私よりも全然来るの早いはずなのに。
「今日はほんの少し寝坊しちゃってちょっとね
学校の近くで見かけたの、私もねいま来たところなの」
みかちんが寝過ごすなんて本当に珍しい。
「じゃぁ今日は先輩と一緒に帰るんだ?」
「ごめんね」
「最近先輩と一緒で幸せそうな澪ちゃんかわいいよ」
「ありがとう」
やっぱり恋した女の子がかわいいって本当なのかな。
みかちんのその言葉でなんだか
「女の子は恋したら綺麗になる」
そんな嘘か本当かもわからない迷信を信じてみたくなった。
それから今日は1日1時間が過ぎるのがすごい早かった。
今日は授業時間中はみかちんと先輩の話で盛り上がった。
みかちんは
「憧れるけどあんなにかっこいい先輩は手も届かないよ」
って…。
「先輩のどこが好きなの?」
「笑った顔かな」
「今日はどこでご飯食べるの?」
「お昼にね先輩の教室に行く約束してん!」
「3年生のフロアに行くの!?澪ちゃん勇気あるね」
「怖いよ?私も怖いけどなんか先輩のこと考えたら
勝手に足が動くのねん」
そんなガールズトークをしてたら楽しくって
にやにやが止まらない。
1,2時間目の社会だけ。
集中したのは。
4時間目の数学はつまんない。
「おい、櫻井!!」
「はい!」
私は先生の声に驚いて立ち上がった。
「ちゃんと授業に集中しろ、ここの問題解けるよな」
先生の差す先を見るとそれは私の1番苦手な範囲。
私はしぶしぶ答えた。どうにか答えれてほっとした。