竜宮城に帰りたい。
「は、晴…!?え…」
こ、これって!
膝枕されてる!!
慌てて身体を起こそうとしたが、
晴におでこを押さえつけられた。
「晴、ごめんなさい。
えっと…離して…」
「お前、ホンマあほやの。
慣れとらんのに服着たまんま泳いだりして、溺れるに決まっちょる。」
晴ははーっとため息をつくと、
押さえていた私のおでこにデコピンをした。
「!いった…」
「……悪かった」
「え……」
い、今、晴が謝った!?
晴はそれ以上何も言わず、私の身体を起こしてくれた。
「ありがと…」
「お前はいちお浦島やけん、
溺れとったら世話ないが。」
「う、うん…。」
「せっかく自由なんやけん、
こなんとこで縛られても意味ない。
乙姫なんぞ忘れて、はよ行けばええんや。」
「えっ…」
「……。
浦島の話や。」
晴はそう言うと、「戻ろうで」と付け加えて、来た道を戻っていった。