竜宮城に帰りたい。
「何が『私』?」
「俺が寂しいって気づきよったんも、
特別扱いせなんだんも、
まんでお前や。」
「それは…」
それは、私がこの町にとって、
晴にとって異質だったから。
日常から離れているからこそ気づいたってだけだ。
別に私が優れている訳じゃない。
「瑞希に尻拭いさせんなや。」
「な、なに…それ…」
「お前が責任とれや。」
「…どうやって。」
「乙姫はのぉ、浦島に行かないでほしかったんやない。
連れてって欲しかったんや。」
「連れてって…」
自分を置いて、どこかに行ってほしくなかった。
独り占めしたくて
愛されたくて
「こなん竜宮城、もううんざりや。」
「っ、逃げんな!!!」
とっさに出た台詞とその声の大きさに自分で驚いた。
晴…
それは違う。
自分が今どんなに恵まれた環境にいるか、
知らないだけ。
それは私も…だけど。
でも、この竜宮城だけは…
捨てちゃダメだよ。
「…澪ちゃん…?」
その声にハッとなり、後ろを振り向くと、
そこには瑞希ちゃんたちがいた。