竜宮城に帰りたい。
慎くんと礼二くんは瑞季ちゃんを追いかけていき、
私、晴、祐くんはその場に残った。
しばらく誰も口を開かず、
重たい空気が流れていた。
「もう花火始まりそうやのぉ。」
そう言って晴が見上げた空はかすかに赤みを帯びていた。
そんな穏やかな空に反して、
祐くんが焦ったように言葉を発した。
「そなんこと言っとる場合やないで。
瑞季のこと、どうするんや。」
「やけん、別れるって。」
「…そんなん…あんまりやん。」
「今後、俺があいつを好きになることないと思う。
俺と付き合いよる方が可哀想やろ。」
「……。」
祐くんはそれ以上言葉を続けることはなかった。
確かに…
好かれる可能性がないのに付き合い続けるのって不毛だ。
それは事実なんだけど…
「澪、行くで。」
「へ?」
晴は意外にも私の名前を呼んだ。