竜宮城に帰りたい。
おばあちゃん家には冷暖房がない。
でも不思議とバスに乗っていた時ほど暑くない。
お正月も親戚みんなでこたつの中に入っているから全然寒くないのだ。
荷物を置き終えて一息つくと、おばあちゃんはスイカを切り分けてくれた。
「「いただきま〜す」」
美味しい…。
夏の味がする。
おばあちゃんは私たちが食べるのを見ている間中ずっと目尻が下がりっぱなしだった。
「お母さんとお父さんは元気な?」
「うん。二人ともお盆休みには帰ってくるって。」
「そぉ、楽しみやねぇ」
「うん…」
会話……
他に何か……
「ねえ、おばあちゃん、明日海行ってもいいー?」
私たちの沈黙の隙間を縫って、ゆかりが得意のおねだりをした。
「海?ちょっと待ってなぁ、午前中は畑やらないかんけん…」
なんか、久しぶりで…うまく会話できない。
自分のこの性格、ホント嫌になる。