竜宮城に帰りたい。



「おい、澪連れてどこ行くんや。」

「関係ないやろ。」

「関係ないわけあるか!
とにかくあいつらと合流して…」

「やだ。」


晴は子供みたいにあかんべをすると、
私の手をとり、走り出した。


「ちょ、晴!?」

「黙ってついてき。」


晴に手を引かれるまま、浜沿いに走り続け、
数分後、祭りの音も聞こえないくらいの浜までたどり着いた。


「っ…はぁっ…はぁっ…」

「どんだけ息上がってるんや。
ほんまババアやな。」

「う…うる…さ…はぁ…っ」


晴はもうすっかりいつもの調子で、
ゲラゲラ笑うと、よいしょと浜の防波堤に腰を下ろした。

私も防波堤に座り、しばらく息を整えていると、
すぐに落ち着くことができた。


「それで、なんで走ったの…?」

「祐まくためや。」

「なんで…」

「お前ら、ほんまにできとらんのか?」

「っ、できてないよ!!
まぁ色々あったはあった…けど…」


さっき抱きしめられた感触を思いだし、
つい顔が熱くなる。


「おい、お前が好きなんは俺やろ。」

「っっ/////!!!

普通そういうこと…!!
言うかな…。」

「お前が他チラチラ見るけん、しゃあないやん。」

「見てないよ…。」


晴は相変わらず不敵な笑みを浮かべている。

私の顔は絶対真っ赤だろうに…。




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