竜宮城に帰りたい。
「うん…。良いと思うよ!
早月ならできるよ!
きっと成功する。」
「えへへ…ありがとう、澪。」
そう言っていつものように穏やかに笑うと、
深呼吸をして早月は手を挙げた。
「浦島太郎やりたいです!」
まっすぐと手を挙げるその後ろ姿は
私を何か駆り立てた。
こんなまっすぐな人に…
私もなりたかった。
でもきっと…今さら変わるなんて難しい。
恥もかくかもしれない。
それに、どうやったら良いのかわからない。
私は膝の上の握りこぶしをさらに強く握った。
その後の投票の結果、
早月は浦島太郎に選ばれた。
普段の人望からかな…
私は人気がなさそうな裏方にこっそり手を挙げ、
無事その席をゲットすることができた。