竜宮城に帰りたい。
***
「ここだ…」
ネットで検索してヒットした地点に、
『皆川商店』
と書かれた看板の店があった。
この地域で瑞季ちゃんの名字・皆川のお店はここだけだったし、
晴たちが商店だって言ってたし…
合ってると思うけど…
私は自転車を側に停め、
恐る恐る店内を覗く。
割と充実した商品棚が目に入った。
中は日の光が差し込んで明るく、
清潔に保たれていた。
誰かいないのかな…
店内に忍び足で入り、見回すが誰もいないようだ。
どうしよう…。
その時、私の背後から見知った声が聞こえた。
「何しとん?」
振り返ると、予想通り瑞季ちゃんが立っていた。
ホウキを持って、エプロンをつけている。
「あ、おはよう。
お手伝い?」
「おはよう…。
じゃなくて!何しとん!」
「えへへ…」
私は言葉を探して、視線を地面に落とした。