竜宮城に帰りたい。



「告白するのに彼女の許可やこし、いらんよ!」


「でも…
じゃあ私が晴を好きだってこと、知ってほしかった。」


「……うん…。」


「まだ諦めてないんだ…。」


「私だって…」



瑞季ちゃんは言い切らずに下唇を噛んだ。



「私ね、瑞季ちゃんがうらやましかった。」


「なんで…」


「晴とすっごくお似合いだったんだもん!

嫉妬して、でも瑞季ちゃん自身すごく良い子だから、
憎みきれなくて…」


「でも別れた。」



瑞季ちゃんはポツリと涙を落とした。



「瑞季ちゃん…」


「澪ちゃんが晴を好きになるのなんて、
初めて会った時から分かってたよ。

でも晴は絶対に澪ちゃんのこと好きにならんと思ってた。」


「それは今もそうだよ…。」



私が苦笑いを向けると、
瑞季ちゃんは目に溜まった涙を指で拭った。



「そんなことないよ。

晴は初めて自分を分かってくれた澪ちゃんに惹かれとる。

だから、フる時に澪ちゃんやなくて、私を理由にフったんよ。」



私はそんな言葉でいちいち舞い上がってしまう。

でも、今は喜んでいる時じゃない。





< 135 / 236 >

この作品をシェア

pagetop