竜宮城に帰りたい。
「……あと、もう一個。
瑞季ちゃんに言わなきゃいけないことがあるの。」
「何…?」
私は頭の中で言葉を浮かべ、
間違えないように慎重に言葉を選んだ。
「晴はね、寂しいんだと思うんだ。」
「あの日も同じこと言ってたね。」
「うん。
晴のことを…その、特別扱いしないでほしいの。
確かに…そういう風に育ったから、
今さら治せないところもあるけど。
でも晴も私たちと同じ高校生で、
同じように泣いたり笑ったりしたいんだと思うの。
それで、今晴を特別扱いしないで接することができるのは
瑞季ちゃんだけだと思うから…」
「澪ちゃんのそれも特別扱いやないん?」
瑞季ちゃんはそう言うと、
落ち着いた様子で笑顔を浮かべた。