竜宮城に帰りたい。
「ホンマ、ワガママなやつや。」
「うっさい。とっとと行くで。」
晴は照れたようにそっぽを向くと、
門の外へ歩いていってしまった。
「えっ、ちょっと待っ……」
私、まだパジャマだよー!
「今日は晴んく行くで。」
「また宿題するの?」
「ちゃう。
晴の親。説得するんや。」
「……。」
「焦らんでええけん、着替えてき。」
「うん…。」
祐くんは私に向かって優しく微笑むと、
すぐに晴の方に視線を移した。
その表情はどこか暗くて、
これから私たちがやろうとしていることの雲行きの悪さを表しているようだった。
私はその現実から目を背けるように窓のそばを離れ、
着替えに戻った。