竜宮城に帰りたい。



「あら、晴。」


玄関に出てきたのは女の人だった。


「ただいま。」


この様子だと…お母さんかな…?


「祐くんと瑞季ちゃんも…。
えっと…あなたは??」


その人は私に視線を移すと、
首をかしげた。



「あ、えっと。浦川澪です!

夏の間だけおばあちゃん家に来てて…」


「あら、そうなん?いらっしゃい。
晴の母です。」



晴のお母さんはきれいな顔ですっと笑顔を浮かべると、
「どうぞ」
と言って、私たちをリビングらしきところに通してくれた。


この間は晴の部屋にしか入らなかったから、

リビングに入るのは初めてだ。


田舎だからとかいう問題じゃない。

とにかくその部屋はめちゃめちゃ広かった。




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