竜宮城に帰りたい。



「晴…晴……」



ただ静かに泣き続ける晴のお母さんに対して、
誰も何も言わない。


なんか……

おかしいよ…。


これじゃあまるで……



「母さん…」


「っ…ここまで育てたのに…

私も家も捨てるんや…」



あぁ、そうか…



この人は同じだ。

お祭りの日までの瑞季ちゃんや祐くんたちと…


晴を高みに追いやって、可愛がっているようで、
結局話を聞こうとしていない。


すべての元凶はきっと…
晴のお母さんだ。



言わなきゃ。

私が…

外から来た私だから気付けたんだ。


晴が寂しいっていうこと。

晴はちゃんと町に戻ってくるつもりだってこと。


私が…言わなきゃ…




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