竜宮城に帰りたい。
お母さんが後ろ手でドアを閉めたと同時に、
祐くんは大きなため息をついた。
「はぁ~、疲れた…」
「祐は何もしとらんやん。」
「瑞季も変わらんやろ。」
「そもそもあたしは反対派やもん…。」
瑞季ちゃんは祐くんから顔を背け、視線を落とした。
「っ、あの…瑞季ちゃん、ありがとう!」
「何が?」
「おばさんが私のことぶとうとしたとき、止めてくれた…」
「そりゃぁの。
ライバルでもちゃっしゃげられたら、後味悪いやん。」
「うん!ありがとう!!」
瑞季ちゃんは少し笑顔を見せると、
「まぁ、私はまだ諦めたわけやないからの!」
と言って、晴の背中をバシッと叩いた。