竜宮城に帰りたい。



「それで…晴、お父さんは説得できそうなの?」


「ああ。

あの母親よりヤバイってことはないけん。」


「お前の母ちゃん、なんであなん情緒不安定なん?」


「知らんわ。

いつもは普通なんやけどのぉ。

大事な大事な一人息子やけんの。」


「自分で言うな。」



晴は祐くんのつっこみに対して軽快に笑うと、

「よし!」と自分の膝を打って立ち上がった。



「説得も終わったことやし、
久々に遊びにでも行こうで。」


「お、ええのぉ。」

「また海行くんな?」



三人は立ち上がって玄関へ歩き出した。



「え…待っ…」


「何しとん。
行くで、ブサイク。」


「んなっ!!」



晴はいつもの調子でナチュラルに私をディスった。



「うるさいな!

っ、待ってよ!私も行く!」



私は久しぶりのその暖かい空気に

ちょっとだけ泣きそうになった。





< 151 / 236 >

この作品をシェア

pagetop