竜宮城に帰りたい。
「それで…晴、お父さんは説得できそうなの?」
「ああ。
あの母親よりヤバイってことはないけん。」
「お前の母ちゃん、なんであなん情緒不安定なん?」
「知らんわ。
いつもは普通なんやけどのぉ。
大事な大事な一人息子やけんの。」
「自分で言うな。」
晴は祐くんのつっこみに対して軽快に笑うと、
「よし!」と自分の膝を打って立ち上がった。
「説得も終わったことやし、
久々に遊びにでも行こうで。」
「お、ええのぉ。」
「また海行くんな?」
三人は立ち上がって玄関へ歩き出した。
「え…待っ…」
「何しとん。
行くで、ブサイク。」
「んなっ!!」
晴はいつもの調子でナチュラルに私をディスった。
「うるさいな!
っ、待ってよ!私も行く!」
私は久しぶりのその暖かい空気に
ちょっとだけ泣きそうになった。