竜宮城に帰りたい。



「違うって…?」


「私は…祐くんの彼女じゃなくて…」



強く言い過ぎちゃった…

祐くんの顔…見れない…







「澪」


 



澄んだ声が私の名前を呼んだ。


その瞬間、緊張はふっと緩み、
声の主を見上げることができた。



「晴…。」


「もうホームルーム始まるけん、ゆかり。頼む。」


「うん…」



私はゆかりを連れて、そそくさとその場をあとにした。



扉を閉めると、中の会話が聞こえてきた。



「ハハッ…なんやお前、二股な?晴。」

「ちゃうよ。
瑞季とは別れたけん。」

「「えっ…!!」」

「やけん、余計な詮索すな。」

「……」



教室には気まずそうな空気が流れている。


私のせいで…




「あれ?澪ちゃん?」



その時、後ろから声をかけられた。




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