竜宮城に帰りたい。
「最近、澪ハキハキしてきたのぉ。」
「え、そうかな?」
「最初より自分の言いたいこと言うやん?」
それは…
祐くんたちがそうさせてくれてるんだよ。
「そうなれてたら嬉しい。」
そうこう会話してるうちに、
慎くんのヘアピン鍵開け術で、屋上の錠が解かれた。
パアッと開けた視界と、鼻をかすめる潮風に、
一瞬涙が込み上げそうになった。
もうすぐこの町ともお別れ…
「晴!早速本題や!」
「ああ。」
私、ゆかり、祐くん、慎くん、礼二くんは屋上の壁際に寄り、
二人の様子を遠巻きに見る。
晴の東京行き…。
いろんな人にも啖呵切ったし、
なんとしても瑞季ちゃんとは戦わないと…!
「晴には東京行かんでほしい。」
「ほお、なんで?」
「東京行ったら、楽しくって、帰ってこれなくなるけん。」
「帰るって言っとるやん。」
晴は依然として冷静を貫いている。
「そなんことわからんやろ!」
「帰らんかどうかもわからんやん。」
「あたしは!晴にいてほしい。
み、みんなも…この町も…
晴が好きやねん。」
瑞季ちゃんは困ったような顔で晴を見上げた。