竜宮城に帰りたい。
「んな、ななな!!何!?」
「動揺しすぎやろ。」
晴は乾いた声で笑うと、
ズカズカと私の方に近づいてくる。
「こ、来ないで…!」
今、泣いて…
「あ、やっぱ。泣いとる。」
晴は私の顔を無理矢理上に向かせると、
大きな親指で涙をぬぐった。
「瑞季ちゃんはいいの?
私のことなんか別に…って、ちょ!!何してんの!?」
晴はぬぐいとった私の涙をペロッとなめた。
「しょっぱ。」
「んなっ、なっ!!!」
「女はすぐ泣くのぉ。」
「わ、私は…
は、晴が…私の好意なんて忘れ去ってるかと思って…」
「忘れへんよ。」
「え…。」
いつの間にか私と晴の距離は、
限りなく近づいていた。
その距離と晴のいつもと違う眼差しに、
心臓が内側から私を叩く。