竜宮城に帰りたい。



「お前、やっぱかわええのぉ。」



「え……???」




今…なんて…




晴は固まった私を見て、からかうように笑った。




「う、嘘つかないでよ!

いっつもそうやってからかってさ。」


「……」



なんか言ってよ~!!


私は沈黙に耐えきれず、

思わず別の話題にそらした。




「は、晴は…東京来るんだよね?」


「あ?ああ。」


「それで、卒業したら…

この町に帰るんだよね?」



ズキンッ…


胸の奥が悲鳴を上げるけれど、

これだけは仕方がない。


瑞季ちゃんが言っていたみたいに、

みんなにもこの町にも、晴は必要なんだ。



「帰るよ。」


「うん…。」


やっぱり…








「お前も来るかえ?」



「えっ!?」




晴は当たり前とでも言いたげに、

しれっとした顔でそう言った。




< 168 / 236 >

この作品をシェア

pagetop